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全国生活習慣病予防月間について

毎年2月は全国生活習慣病予防月間です.

メタボリック症候群は内臓脂肪が蓄積することが原因で起こってくる疾患であり,別名内臓脂肪症候群と呼ばれています.内臓脂肪型の肥満になると脂肪細胞から体にとって不都合なホルモンが分泌され,高血圧症,糖尿病,脂質異常症といった生活習慣病を引き起こします.その結果,動脈硬化症が進行し最終的には脳卒中や心筋梗塞といった命にかかわる重大な疾患の発症につながります.メタボリック症候群を予防・解消するためには,その原因である内臓脂肪を蓄積しないように,また,減少させるように努力をする必要があります.基本は食生活の改善になりますが,内蔵脂肪は皮下脂肪に比べて燃焼しやすいという特徴もありますので,積極的に運動(特に有酸素運動)を行うことも大切です.また,十分な睡眠,節度ある飲酒,喫煙者は禁煙,ストレスを避けることなど心がけることが大切です.

健康的に働くためには心と身体の健康づくりが大切です.「健全なる精神は健全なる身体に宿る」と言われるように,まずは健康的な身体づくりを心がけましょう.


# by hrnnobu357 | 2023-02-01 07:04  

転倒防止対策について

厚労省による令和3年の労働災害発生状況で,休業4日以上の死傷災害149,918人のうち,最も多い災害は転倒であり33,672人で全体の約23%を占めます.特に高齢者で転倒災害のリスクが高く,50歳以上が全体の約7割を占めています.また,転倒で4日以上仕事を休む労働者の約6割は1ヶ月以上の長期休業となる傾向があるのが特徴です.
転倒災害はどのような職場でも発生します.「滑り」「つまずき」「踏み外し」が3つの典型的パターンであり,「通路」や「作業床」で多く発生しています.身体強度や運動機能が低下すると転倒しやすく,わずかなつまずきであっても被災の重篤度が高まる傾向にあるため,自分の身体能力を過信しないことが大切です.
転倒災害を防ぐためには,3つ原因の対策を進めることが基本となります.職場の4S(整理・整頓・清掃・清潔)に取り組み作業環境の改善に務める.さらに,転倒しにくい作業方法を周知徹底する,転倒危険場所を「見える化」する,時間に余裕を持って行動する,作業に適した靴を選択し定期的に点検する,日頃から足腰を鍛えるなどを推進必要があります.
冬季は積雪・凍結などで転倒の危険性がさらに高まります.通勤災害も含め各職場で転倒災害防止に努めましょう.

# by hrnnobu357 | 2023-01-04 07:15  

新年のご挨拶

あけましておめでとうございます.

今年も臨床医として地域医療,健診医として予防医学,産業医として労働衛生の向上に微力ながら努力していく所存でございます.

今年もよろしくお願い申し上げます.


# by hrnnobu357 | 2023-01-01 07:53  

飲酒と健康障害について

喫煙は「百害あって一利なし」ですが,「酒は百薬の長」と言われるように,適度の飲酒は血行促進作用やストレス発散・リラックス効果を持ち心身の健康にプラスとなります.また,人間関係の形成や社会生活を営む上でも大きな効用があります.しかし,飲み方を誤ると身体にも心にも生活にも深刻な影響を与えることになってしまいます.

過剰飲酒はアルコール性脂肪肝・肝炎・肝硬変,急性膵炎・慢性膵炎,急性アルコール中毒,アルコール依存症,認知症,糖尿病,脂質異常症などの様々な病気をきたします.また, WHO国際がん研究機関IARCは,アルコール飲料およびアルコールの分解産物であるアセトアルデヒドを発がん物質としており,口腔・咽頭癌,食道癌,肝臓癌,結腸・直腸癌,乳癌の発生原因にもなります.お酒を飲んで顔が赤くなるフラッシャー(赤型体質)の人は特に注意が必要です.

また,酒席や二日酔いでの失敗で,仕事ばかりでなく家庭生活・社会生活を破壊してしまうことさえあります.

何事も「適度」ということが大切ですが飲酒も同様です.「節度ある適度な飲酒」は1日平均純アルコールにして約20g程度であるとされています. 2日の休肝日(できれば連続した2日)をもうけてアルコールと仲良くつきあうことが必要です.ちなみに,純アルコール20g程度とは下記の量となります.

・ビール:500ml

・日本酒:1合

・焼酎 :1/2合

・ワイン:グラス2杯

・ウィスキー:ダブル1杯程度


# by hrnnobu357 | 2022-12-01 07:02  

冬季の職場における感染症予防について

新型コロナウィルス感染症(COVID-19)の流行から約3年が経とうとしています.感染者数は非常に増加していますが,それに比べると死亡者の割合は低く,致死率は流行初期から比べるとどんどん低下しています.コロナウィルス自体は一般的な風邪ウィルスであり,高齢者や基礎疾患のある方で重症化しやすいのが新型コロナウィルスです.個人的にはいずれ風邪と同じ扱いになると予想していますが,しばらくは感染者の周期的な増減が繰り返えされることが予想されるため感染予防対策の継続が必要です.

11月からはインフルエンザやノロウィルス感染症も流行する季節となります.両疾患とも1月から2月初旬にかけピークを迎え3月ぐらいまで流行します.いずれも集団発生する可能性があり,新型コロナウィルス感染症に加えインフルエンザやノロウィルス感染症にも十分注意が必要です.職場の感染症予防対策を徹底することは経営課題の一つでもあり非常に重要なことです.

感染症対策の三原則は,1.病原体(感染源)の排除 2.感染経路の遮断 3.宿主の抵抗力の向上です.特に感染拡大防止のためには感染経路の遮断が大切です.接触感染,飛沫感染などの感染経路遮断のために,手洗い,咳エチケット,マスク着用,適切な消毒などを継続しましょう.また,宿主の抵抗力向上のため,規則正しい生活,十分な睡眠,バランスの取れた食生活,適度な運動などを心がけることも大切です.

以下に職場で行うべき感染症予防のためのチェック項目をあげます.


1.感染症予防のための環境管理

・作業場の温度・湿度管理,換気等を行う

・施設の出入口等の動線上に手指消毒ができるアルコール消毒剤を準備

・職員間の距離の確保,仕切りなどを利用

・感染症予防のためのポスター等を掲示

・リモートワーク,時差出勤などの環境整備

・会議時間,会議参加人数などの再考

2.労働者への感染症予防行動の周知

・職場で流行する感染症(新型コロナウィルス感染症,インフルエンザ,ノロウィルス等)について,症状や感染経路,予防法,治療法等の衛生教育

・咳エチケットや手洗い法など,常に正しい感染予防行動ができるように指導

・3密を避ける(密閉空間, 密集場所, 密接場面)

・感染リスクが高い場面の認識共有(休憩室,食堂,喫煙所などでのマスクなしでの会話)

・夜の街に出かけるなどのリスクのある行動を避けるよう指導

・積極的に予防接種を受けるように指導

3.日ごろの健康管理

・規則正しい生活を心がけるよう指導し,過重な疲労がかからぬよう配慮

・毎日の作業前ミーティング等で労働者の体調を確認

・発熱や下痢・嘔吐等の症状がある労働者は速やかに上長に報告するよう指導

・体調不良者が気兼ねなく休めるルール,実行できる雰囲気を作る

4.感染症発生時の対応と定期確認

・感染症発生時の事業所内での報告方法や対応担当者を決め労働者に周知徹底

・嘔吐物の処理・清掃のルールを決め必要な薬品や備品を整備

・定期的に対策の実施状況を確認し定期的に改善を図る(PDCAサイクル)


# by hrnnobu357 | 2022-11-01 07:16