新型コロナウィルス感染症(COVID-19)の流行から約3年が経とうとしています.感染者数は非常に増加していますが,それに比べると死亡者の割合は低く,致死率は流行初期から比べるとどんどん低下しています.コロナウィルス自体は一般的な風邪ウィルスであり,高齢者や基礎疾患のある方で重症化しやすいのが新型コロナウィルスです.個人的にはいずれ風邪と同じ扱いになると予想していますが,しばらくは感染者の周期的な増減が繰り返えされることが予想されるため感染予防対策の継続が必要です.
11月からはインフルエンザやノロウィルス感染症も流行する季節となります.両疾患とも1月から2月初旬にかけピークを迎え3月ぐらいまで流行します.いずれも集団発生する可能性があり,新型コロナウィルス感染症に加えインフルエンザやノロウィルス感染症にも十分注意が必要です.職場の感染症予防対策を徹底することは経営課題の一つでもあり非常に重要なことです.
感染症対策の三原則は,1.病原体(感染源)の排除 2.感染経路の遮断 3.宿主の抵抗力の向上です.特に感染拡大防止のためには感染経路の遮断が大切です.接触感染,飛沫感染などの感染経路遮断のために,手洗い,咳エチケット,マスク着用,適切な消毒などを継続しましょう.また,宿主の抵抗力向上のため,規則正しい生活,十分な睡眠,バランスの取れた食生活,適度な運動などを心がけることも大切です.
以下に職場で行うべき感染症予防のためのチェック項目をあげます.
1.感染症予防のための環境管理
・作業場の温度・湿度管理,換気等を行う
・施設の出入口等の動線上に手指消毒ができるアルコール消毒剤を準備
・職員間の距離の確保,仕切りなどを利用
・感染症予防のためのポスター等を掲示
・リモートワーク,時差出勤などの環境整備
・会議時間,会議参加人数などの再考
2.労働者への感染症予防行動の周知
・職場で流行する感染症(新型コロナウィルス感染症,インフルエンザ,ノロウィルス等)について,症状や感染経路,予防法,治療法等の衛生教育
・咳エチケットや手洗い法など,常に正しい感染予防行動ができるように指導
・3密を避ける(密閉空間, 密集場所, 密接場面)
・感染リスクが高い場面の認識共有(休憩室,食堂,喫煙所などでのマスクなしでの会話)
・夜の街に出かけるなどのリスクのある行動を避けるよう指導
・積極的に予防接種を受けるように指導
3.日ごろの健康管理
・規則正しい生活を心がけるよう指導し,過重な疲労がかからぬよう配慮
・毎日の作業前ミーティング等で労働者の体調を確認
・発熱や下痢・嘔吐等の症状がある労働者は速やかに上長に報告するよう指導
・体調不良者が気兼ねなく休めるルール,実行できる雰囲気を作る
4.感染症発生時の対応と定期確認
・感染症発生時の事業所内での報告方法や対応担当者を決め労働者に周知徹底
・嘔吐物の処理・清掃のルールを決め必要な薬品や備品を整備
・定期的に対策の実施状況を確認し定期的に改善を図る(PDCAサイクル)