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ピロリ菌とABC検診について

ヘリコバクター・ピロリ菌とは,胃の粘膜に生息しているらせん形をした菌で5歳以下の幼児期に口から入り感染すると考えられています.日本では総人口のほぼ半数6,000万人がピロリ菌に感染しているとされ,40歳以上では約80%が感染していると推定されています.感染が続くと慢性胃炎や胃・十二指腸潰瘍, 胃がん, その他の全身的病気を引き起こすことがあります.胃がんを発症する人の99%がピロリ菌感染者とされますが,ピロリ菌に感染しているからといって必ず胃がんになるとは限りません.ピロリ菌の診断は,内視鏡検査を用いた方法と内視鏡を用いない採血などの方法で行われます.ピロリ菌検査が陽性だった場合はプロトンポンプ・インヒビターと2種類の抗生剤内服を用いた除菌療法を行います.条件を満たせば保険適応での治療が可能です.内服治療後4週間以上経過してから判定を行い,約80%の確率で除菌が成功し,1次除菌で失敗した際は2次除菌を行い95%の確率で成功します.

ABC検診とは,血液によるピロリ菌抗体の有無とペプシノゲン値から,胃がんになりやすいか否かを危険度別にA, B, C, D群に分類するものです.胃粘膜の状態をA(正常), B(軽度萎縮), C(中等度萎縮), D(高度萎縮)群に分類,萎縮の程度が高度になるほど胃がんの発生率が高くなります.最近はバリウムを用いた胃X線検査による胃がん検診に変わり採血で簡単にわかるABC検診を行う健診が増えています.しかし,注意点は,A群の中にもピロリ菌がいる人や非常にまれですがピロリ菌に関係しない胃がんなどもあるため,A群であっても一度は内視鏡検査を受けることが望ましいとされます.また,B群以上も医師と相談し定期的な内視鏡検査受診を受けることが必要です.D群はがんの危険度が最も高い群ですが,実はピロリ菌がいる人や,A群が含まれていることがありますので,医師とよく相談して検査や治療方針を決める必要があります.

若年層のピロリ菌感染者は激減していますが,親になる年齢以前にピロリ菌の有無を調べ,陽性の場合には除菌するという若年層への対策と,ABC検診などを利用してピロリ菌を調べ,陽性者には除菌療法を行うとともに,定期的な内視鏡による経過観察を行うことが大切です.


# by hrnnobu357 | 2020-02-02 15:55  

健康経営について

健康経営とは,社員の健康を重要な経営資源と捉え, 健康増進に積極的に取り組む企業経営スタイルのことです.その背景には,少子高齢化による労働人口の減少,生活習慣病の増加などによる医療費の増大,メンタルヘルス不調者の増加,外部環境の変化に伴う経営合理化などがあります.企業にとって労働力の維持・確保はますます重要な課題です.健康経営を進めると,疾病に基づく手当支払いの減少や健康保険料の抑制,リスクマネジメント,生産性の向上や企業のイメージアップにもつながります.

健康経営を進めるには,まず,健康づくりの基盤構築と社員への情報発信を行い,そして実際に健康づくりを促進し,定期的な効果検証と改善活動を行う必要があります.


社員の健康状況を把握・共有し健康づくりの重要性を認識

・社員に健康づくりの大切さを発信し健康づくりを推奨

社員の健診結果から病気のリスクを確認し健康課題を社内で共有

健康づくりの促進

社員の健康づくりの参加・実施状況を把握し効果を検証・改善


# by hrnnobu357 | 2020-01-04 09:05  

新年のご挨拶

あけましておめでとうございます.

今年もよろしくお願い申し上げます.

臨床医として地域医療,健診医として予防医学,産業医として労働衛生の向上に微力ながら努力していく所存でございます.

ご指導ご鞭撻のほどよろしくお願い申し上げます.


# by hrnnobu357 | 2020-01-01 11:33  

飲酒と健康障害について

「酒は百薬の長」と言われるように,適度の飲酒は血行促進作用やストレス発散・リラックス効果を持ち心身の健康にプラスとなります.また,人間関係の形成や社会生活を営む上でも大きな効用があります.しかし,飲み方を誤ると身体にも心にも生活にも深刻な影響を与えることになってしまいます.

過剰飲酒はアルコール性脂肪肝・肝炎・肝硬変,急性膵炎・慢性膵炎,急性アルコール中毒,アルコール依存症,認知症,糖尿病,脂質異常症などの様々な病気をきたします.また, WHO国際がん研究機関IARCは,アルコール飲料およびアルコールの分解産物であるアセトアルデヒドを発がん物質としており,口腔・咽頭癌,食道癌,肝臓癌,結腸・直腸癌,乳癌の発生原因にもなります.お酒を飲んで顔が赤くなる「赤型体質」の人は特に注意が必要です.

また,酒席や二日酔いでの失敗で,仕事ばかりでなく家庭生活・社会生活を破壊してしまうことさえあります.

何事も「適度」ということが大切ですが飲酒も同様です.「節度ある適度な飲酒」は1日平均純アルコールにして約20g程度であるとされています. 2日の休肝日(できれば連続した2日)をもうけてアルコールと仲良く付き合いましょう.ちなみに,純アルコール20g程度とは下記の量となります.

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                社団法人アルコール健康医学協会のホームページ


# by hrnnobu357 | 2019-12-01 09:27  

冬季の職場の感染症予防について

インフルエンザやノロウィルス感染症が流行する季節となりました.両疾患とも1月から2月初旬にかけピークを迎え3月ぐらいまで流行しますが,今年はインフルエンザ感染症が例年より早くから認められ,宮城県でも10月中旬から学級閉鎖となる学校が出ています.インフルエンザやノロウィルス感染症は集団発生する可能性があり,周囲労働者の業務負担増加や時間外労働の発生,生産性の低下にもつながりかねません.職場の感染症予防対策を徹底することは経営課題の一つでもあり非常に重要なことです.

以下に職場で行うべき感染症予防のためのチェック項目をあげます.


1.感染症予防のための環境管理

・作業場の温度・湿度管理等を行う.

・施設や休憩室の出入口等の動線上に手指消毒ができるアルコール消毒剤を準備する.

・感染症予防のためのポスター等を掲示する.

2.労働者への感染症予防行動の周知

・職場で流行する感染症(インフルエンザ,ノロウィルス等)について,症状や感染経路,予防法,治療法等の衛生教育を行う.

・咳エチケットや手洗い法など,常に正しい感染症予防行動ができるように指導.

・インフルエンザに関しては積極的に予防接種を受けるように指導.

3.日ごろの健康管理

・規則正しい生活を心がけるよう指導し,また,過重な疲労がかからぬよう配慮する.

・毎日の作業前ミーティング等で労働者の体調を確認する.

・発熱や下痢・嘔吐等の症状がある労働者は速やかに上長に報告するよう指導する.

4.感染症発生時の対応と定期確認

・感染症発生時の事業所内での報告方法や対応担当者を決め労働者に周知徹底する.

・嘔吐物の処理・清掃のルールを決め必要な薬品や備品を整備する.

・定期的に対策の実施状況を確認し定期的に改善を図る.(PDCAサイクル)


# by hrnnobu357 | 2019-11-01 07:37